ベトナムのディン・ティエン・ズン財務相は25日、都内で日本経済新聞の取材に応じ、同国の上場企業に対する外資の出資比率制限を従来の49%から「最大60%まで引き上げる」と述べた。同国が進める外資規制見直しの一環で「年内に結論を出す」とした。実現すれば、外資による現地大手企業の経営権獲得も可能になり、アジア進出をめざす日本企業に新たな選択肢をもたらしそうだ。
財務相は投資誘致を目的に来日中で、国有のベトナム航空幹部を含め企業関係者約50人も同行している。主要閣僚が外資規制の緩和方針を具体的に表明するのは初めて。
外資規制の緩和について財務相は「対内直接投資(FDI)を増やすのが目的。日本からの投資(誘致)は最優先だ」と述べた。出資上限は、現地企業と外資の業種など、条件次第で複数設定する可能性もある。ベトナムの証券取引所には約700社が上場している。
同国は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の参加国。財務相は取材に対し「国有企業の株式会社化(民営化)などの改革も進めている」と強調。国有企業改革に加え、外資規制緩和も同国のTPP加盟の「追い風になる」との認識を示した。
日本経済新聞2014年4月26日により